SKETCH BOOK
やっと話しかけてきたと思ったら、
綾子に空き教室に呼び出された。
大人しくついていくと、
女子に円になって囲まれる。
みんなの顔はとても怖くて、
その中で何故か胡桃だけが大泣きしていた。
綾子は胡桃の背中をさすって慰めると、
あたしを睨みつけた。
「あんたに話があるんだけど」
「なに?」
「鳴海くんとどういう関係なのよ」
「えっ?」
意外な切り出し方をされて戸惑う。
何、橙輝の話?
橙輝との関係って、そりゃあ……。
誰にも言えない関係。
義理だけど兄妹。
あたしは綾子を黙って見つめた。
綾子は苛立ったようにため息を吐いた。
「付き合ってるの?」
「付き合って、ないよ」
「じゃあどういうつもり?好きなの?」
「なんでそんなこと……」
「松田くんと別れたと思ったら
今度は鳴海くん?」
なんの話よ。
いつ誰がそんなこと言ったのよ。
訳が分からなくて泣いている胡桃を見た。
あのお祭りの時の胡桃を思い出す。
必死に橙輝についていって話しかけていた。
きっと胡桃は橙輝のことを好きなんだろうなって思ったの。
そこまで思い出してはっとする。
ああ、なんだ。
このいじめの原因はあたしか。
あたしが悪いのか。