愛しい人の愛し方
「僕のこと、分かんない?
...酷いなぁ...僕は、君に会えた時から運命だと思っていたのに」


...どういうこと...?


彼に私は会ったことがあるの...?


全く思い出せない。


「まぁ、いつかは会えるわけだし、別にいいんだけどね。僕が迎えに行ったから、少し早くなっただけ」


彼の言っている言葉が分からない。


何も思い出せない、何も心当たりはない。


「ここはね、僕の家の地下室。
結構快適でしょ?キミのために用意したんだ」


言われて見渡せば、窓の無い部屋。


更に、ドアには鍵が付いていた。


ジャラ...とした音と、手首に感じる重みと冷たさに思わず手元を見ると、鎖に繋がれた手錠がはめられていた。


息を飲み、彼を見ると「ああ、」と思い出したように言った。


「君が逃げるといけないと思って。
ここが何処かなんて分かっていないんだから、結局逃げられはしないのだけれど...念には念をってね?」


逃げられない...。
< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop