あなたの命、課金しますか?


教室の片隅でひっそりとお昼ご飯を食べる、私たち。


「あれ渚、ダイエットは⁇」


「もう終わり」


すげなく言うと、アンパンにかぶりついた。


昨日はお茶だけだったが、今日はお弁当だけでは飽き足らずに、菓子パンを口いっぱいに詰め込む。


桃子が驚くのも無理はないが、朝、体重計に乗ったら1kgも増えていて馬鹿らしくなった。


もういい。


血の滲むような思いをしても、報われないんだ。


それなら爆食したほうがいい。


「豚が覚醒したぞ」と陰口を叩かれたとしても。


明るい笑い声が、教室の中央から響き渡る。


桜庭さんのグループだ。


周りを気にすることのない食事は、さぞ美味しいだろうな。


体重が増えることも気にしないでいいんだから。


「ごちそうさまでした」


机を元に戻した時、足元が光った。


__ん?


100円玉だ。


誰かの落とし物だろうけれど「これ誰の⁉︎」なんて、注目を浴びることはしたくない。


そっとポケットに忍ばせる。


でもこれって__?


席につき、スマホを見る。


【HAPPY SCHOOL】のアプリを開き【願い事】の項目をクリックした。


「うそ」


思わず呟いた。






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