あなたの命、課金しますか?
「渚、最近いいことあった?」
「いいこと?どうして?」
笑顔になるのを堪えて、桃子に聞き返した。
「なんか、明るくなったかな?痩せた?」
「1kg太ったよ」
「そうなの?でもなんか、元気だね」
「気のせいだって」
とうとう80kgに到達した私だったが、機嫌は悪くない。
1日1回、良いことが起きるんだ。
【パンを貰える】とあれば、購買で1つサービスしてくれた。
【テストで良い点を取る】と書かれていた日は、平均点を大幅に上回っていた。
【風邪が治る】という願いは、すでに私が風邪を引いていることを予知していた。
どれも他愛ない事柄だったが、私は学校に行くのが楽しみとなっていたんだ。
必ず願い事が叶うから。
それに今回の願い事は、これまでと一味違う。
私はずっと、桃子と友達だ。
桃子だけが友達だった。
私と仲良くなりたいなんて、奇特な人は居ない。
同類と思われるからだ。
望んでカーストを下る人は居ないから__。
「あの、葉月さん」
「えっ⁉︎」
声を上げたのは、私じゃなく桃子。
私たちに声を掛けてくるなんて、これまでに無いことだ。
だって私たちは【居ない】ものとされているから。