あなたの命、課金しますか?


そっとアプリを開くと【願いが叶って良かったですね】とあった。


実行された願い事は【男子に声を掛けられる】だ。


それを見た時から、眠れなかった。


男子にとって私は女子でもなんでもない。


ストレス発散のターゲット。


そんな男子から声を掛けられるなんて、きっと良いことではないんじゃないか?


面と向かって悪口を言われるのも、同じ事じゃないか?


だからずっと気になって、授業どころじゃなかった。


それならいっそ【退会】してしまおうと思ったが、それも勇気がない。


毎日、細やかだけれど、なんの変哲もない学校生活に少し花が咲いたんだ。


この小さな花は手放したくない。


今か今かと、身を固くして罵声を待ち構えていたのに。


「俺と一緒の機種じゃん」


三鷹くんの声が蘇る。


他の男子のように、侮蔑の視線はなかった。


ましてや、私の私物に触れたんだ。


触れば太る菌が移ると噂の、私の物に。


携帯を胸に抱いて、ずっと三鷹くんを感じていたかったけど__。


その時、携帯が震えた。


メールが届いたらしい。


誰からだろう?


私はスマホを確認する。


「__えっ?」


思わず声が漏れた。




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