あなたの命、課金しますか?


眠っていても分かった。


自分が痩せていくのが。


お腹の贅肉をつかめる幅が、明らかに少なくなっていたからだ。


眠りながら、私は微笑んでいたことだろう。


体重計に乗ると、針は【76kg】で止まった。


顔も小さくなっている。


心なしか、目も大きくなっている感じがする。


「あれ?渚、なんか痩せたね?」


今度ばかりは、すぐに桃子も気づいた。


「ちょっとダイエットしてるから」


「その割にはいっぱい食べてるけど?ダイエットサプリか何か?」


「あ、うん。そんなところ」


適当にはぐらかし、お弁当を平らげる。


どれだけ食べたっていい。


我慢することもない。


私は楽に痩せられるんだから。


明らかに気づいたのは桃子だけだが、今日は視線をいくつも感じる。


それも女子の視線ばかり。


チクチクと突き刺さる視線はでも、私の自尊心をいい感じに刺激する。


人から注目されるのがこんなに気持ちいいだなんて‼︎


でもまだ足りない。


5kg痩せたところで、まだ【デブ】だからだ。


もっと痩せたい。


もっともっと。


もっともっと。


もっともっと。


もっともっと。


もっと。



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