あなたの命、課金しますか?


【胸を大きくする】【1年】


私の胸は今や、はち切れんばかり。


男子の視線を一手に浴びるほどだが、これにはワケがある。


「朋美、今度みんなで遊園地行かねーか?」


「いいけど」


「俺らも何人か誘うから__葉月も行くだろ?」


三鷹くんが、私に訊いた。


「うん、行く」


「絶叫系とか平気?」


「私は平気」


「うっしゃ、なら決まりな。朋美は苦手だから、俺と乗ろうぜ」


「うん」


私は頷いた。


三鷹くんが、私に話しかけ、私に笑いかける。


雲の上の存在だった、三鷹裕也。


同じく雲を掴み取った私にとってそれは、かけがえのないものだった。


桜庭さんグループには、男子のカースト上位の三鷹くんサッカー部が、磁石のようにひっ付き合っている。


その男子たちが話していたのを耳にしたんだ。


好きな女子の胸は、大きいほうがいいと。


だから胸を豊満にしてみたが、今のところ三鷹くんの目に留まることはない。


それもそうだ。


三鷹くんと桜庭さんは、付き合っているから。


誰の目からもお似合いのカップルだ。


私が付け入る隙なんかない。


【今の私】には、だ。


だって私にはこの【アプリ】がある。


なんでも願いを叶えることができる、神のアプリが。



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