イジワルな彼は私を溺愛しています

ファーストキス

HRが終わった。

「ねえ!ちょっと!」

クラスのリーダー的存在の女子が私を呼んだ。こういう人は敵にまわしたくない。

「会長が呼んでる!」

「……分かった」

重い腰を上げて教室の入り口にいる和海の元へ行く。チラッと亜矢を見ると、私を見てニヤニヤしている。

明日のことを考えて、ため息が出そうになる。

「中島先輩、何ですか?」

「……」

和海は何も言わずに私を廊下に連れ出した。

「中島先輩?用事って何ですか?」

「その呼び方やめろ」

「学校では中島先輩です」

「却下」

そう言って和海は私に壁ドンをした。

「「「「「キャャーーーー」」」」」

女子の悲鳴。そして、突き刺すような視線。

……明日学校に来たくない。

「分かりました……和海、何か用ですか?」

和海はフッと笑った。

「これからそれ以外で俺を呼んだらお仕置きな?」

「何ですか、お仕置きって」

「されてからのお楽しみだな。まあ、行くぞ」

「……どこに?」

「生徒会室。早く準備しろ」

この人に反論して私の意見が通ったことはない。

「……分かりました」

諦めて、教室に戻ってカバンをとる。

…………教室の中はシーンとしていた。
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