ツンデレ黒王子のわんこ姫
午後はなんとか気を取り直して、健琉は芽以の指導者としてつつがなく任務を遂行した。
物覚えのよい芽以は、一人でできることがどんどん増えていく。
夕方、帰宅時間を迎えると、芽以のデスクには、沢城優太が顔を出していた。
「芽以ちゃん、今日から電車でしょ?駅まで送るよ。」
昨日まで、芽以は白木家の側近に送り迎えされていたはずだ。
いつの間に電車通勤が許されるようになったのか?
"電車に乗ったなんて一言も聞いていない"
健琉は内心焦りとイライラを感じていたが、
「沢城は反対方向だろ?面倒だろうから俺が送るよ」
と、健琉は表面上を取り繕って言った。
「黒田さん、俺は面倒なんて一言も言ってませんよ。」
沢城はフフンと口角を上げて言った。
「それに、ここからはプライベートでしょう。指導者だからって、公私混同して芽以ちゃんを束縛するのは、なんか違うんじゃないですか?」
いつになく優太が強気を見せてくる。
「黒田さん以外にもライバルが多いって俺わかっちゃったんで、これからは遠慮しません」
「行こう、芽以ちゃん」
優太は、芽以の手を引いて強引に部屋を出ていった。
「で、でも,,,」
ためらいつつ振り返りながらも、どうしていいかわからず手を引かれて出ていった芽以。
優太が見せる初めての態度に気圧されて、健琉は言い返すこともなく、二人を見送ってしまった。
"恋愛に早いも遅いもない。手に入れたもん勝ちだ"
以前、葵生が言っていた言葉を思い出した。
もしかしたら、葵生も芽以のことを好きになっているのかもしれない。
言い知れぬ不安に押し潰されそうになった健琉は、鞄とジャケットを手に取ると、思わず駆け出していた。
物覚えのよい芽以は、一人でできることがどんどん増えていく。
夕方、帰宅時間を迎えると、芽以のデスクには、沢城優太が顔を出していた。
「芽以ちゃん、今日から電車でしょ?駅まで送るよ。」
昨日まで、芽以は白木家の側近に送り迎えされていたはずだ。
いつの間に電車通勤が許されるようになったのか?
"電車に乗ったなんて一言も聞いていない"
健琉は内心焦りとイライラを感じていたが、
「沢城は反対方向だろ?面倒だろうから俺が送るよ」
と、健琉は表面上を取り繕って言った。
「黒田さん、俺は面倒なんて一言も言ってませんよ。」
沢城はフフンと口角を上げて言った。
「それに、ここからはプライベートでしょう。指導者だからって、公私混同して芽以ちゃんを束縛するのは、なんか違うんじゃないですか?」
いつになく優太が強気を見せてくる。
「黒田さん以外にもライバルが多いって俺わかっちゃったんで、これからは遠慮しません」
「行こう、芽以ちゃん」
優太は、芽以の手を引いて強引に部屋を出ていった。
「で、でも,,,」
ためらいつつ振り返りながらも、どうしていいかわからず手を引かれて出ていった芽以。
優太が見せる初めての態度に気圧されて、健琉は言い返すこともなく、二人を見送ってしまった。
"恋愛に早いも遅いもない。手に入れたもん勝ちだ"
以前、葵生が言っていた言葉を思い出した。
もしかしたら、葵生も芽以のことを好きになっているのかもしれない。
言い知れぬ不安に押し潰されそうになった健琉は、鞄とジャケットを手に取ると、思わず駆け出していた。