ツンデレ黒王子のわんこ姫
「美術館の運営について、桃山家から援助を受けているのは知っているな?」
「え、ええ。それが私の結婚となんの関係があるのですか?」
芽以は動揺を隠せずに書状と父を交互に見つめた。
「お前たちの結婚を取り止めなければ、美術館の援助を取り止めると言ってきたのだ」
白木家と桃山家は、安土桃山時代からの長い武家同士の付き合い。
コンサルタント業を営む桃山家の当主・桃山康友と白木剣士は、幼なじみとしても実業家としても大の仲良しであった。
「その書状にあるように、どうやら、私は酒の席で芽以と康友の長男である靖国くんを結婚させると約束していたようなんだ」
なぜ今になってそんなことを言い出すのか?
芽以は、震える手で書状を掴み上げると、その文面を読み始めた。
確かに書面には
"桃山靖国 白木芽以の婚約をここに約束する
○月○日 桃山康友 白木剣士"
と記載されていた。
それは、今から8年前の日付。
父はその書面の存在すら忘れてしまっていたらしいが、健琉と芽以の結婚式の招待状を受け取った桃山靖友が、怒りの声をあげて訪ねてきたというのだ。
これまでも、父・白木剣士は酒に酔って懐が大きくなり、何でも約束を取り付けてしまうところがあった。
確かに桃山のおじさまには芽以は可愛がられていた。
「芽以ちゃんを娘にしたい」
と、幼い頃はよく頭を撫でられたものだが、まさかの本気だったとは,,,。
それにしても、今回のことはひどすぎる。
半年前、黒田家と白木家は結納を交わし、今週の土曜日には結婚式を控えている。
既に招待状も送っているのだ。
「お父様、いくらなんでも今更中止なんてできません。結婚式は今週末ですよ?」
「だから困ってる。このまま桃山に手を引かれたら、白木美術館はつぶれてしまうんだよ」
力なく俯く剣士に、芽以はかける言葉がない。
しかし、黙って結婚を取り止めることに同意もできない。
それくらい、芽以は健琉を好きになってしまっているのだから。
「え、ええ。それが私の結婚となんの関係があるのですか?」
芽以は動揺を隠せずに書状と父を交互に見つめた。
「お前たちの結婚を取り止めなければ、美術館の援助を取り止めると言ってきたのだ」
白木家と桃山家は、安土桃山時代からの長い武家同士の付き合い。
コンサルタント業を営む桃山家の当主・桃山康友と白木剣士は、幼なじみとしても実業家としても大の仲良しであった。
「その書状にあるように、どうやら、私は酒の席で芽以と康友の長男である靖国くんを結婚させると約束していたようなんだ」
なぜ今になってそんなことを言い出すのか?
芽以は、震える手で書状を掴み上げると、その文面を読み始めた。
確かに書面には
"桃山靖国 白木芽以の婚約をここに約束する
○月○日 桃山康友 白木剣士"
と記載されていた。
それは、今から8年前の日付。
父はその書面の存在すら忘れてしまっていたらしいが、健琉と芽以の結婚式の招待状を受け取った桃山靖友が、怒りの声をあげて訪ねてきたというのだ。
これまでも、父・白木剣士は酒に酔って懐が大きくなり、何でも約束を取り付けてしまうところがあった。
確かに桃山のおじさまには芽以は可愛がられていた。
「芽以ちゃんを娘にしたい」
と、幼い頃はよく頭を撫でられたものだが、まさかの本気だったとは,,,。
それにしても、今回のことはひどすぎる。
半年前、黒田家と白木家は結納を交わし、今週の土曜日には結婚式を控えている。
既に招待状も送っているのだ。
「お父様、いくらなんでも今更中止なんてできません。結婚式は今週末ですよ?」
「だから困ってる。このまま桃山に手を引かれたら、白木美術館はつぶれてしまうんだよ」
力なく俯く剣士に、芽以はかける言葉がない。
しかし、黙って結婚を取り止めることに同意もできない。
それくらい、芽以は健琉を好きになってしまっているのだから。