ツンデレ黒王子のわんこ姫
「ところで芽以。こんなところに来て,このあとどうするつもりだったんだ?」

健琉の問いに芽以は再び俯く。

「とりあえず、金曜日に東京に帰って、どこかホテルに一泊してから土曜日に式場に向かおうかと,,,」

「俺にも相談せずにか?」

「ごめんなさい,,,」

健琉は、そっと芽以の肩を抱き寄せると

「ったく、こんなに簡単に俺に見つかる時点でこの計画はつめが甘すぎるんだよ」

と黒い微笑みを浮かべた。

「そ、そういえば、どうして私がここにいることがわかったんですか?」

「さあな」

教える気もないくせに、話題をふるのは健琉の通常運転だ。

芽以は首を傾げながらもホッとしていた。

「た、健琉さん、お腹は空いていませんか?お昼ご飯を頼んでいるんです。本館の料亭に移動しなければならないのですが」

「そうだな、腹が減ったかも」

立ち上がった芽以を健琉が追う。

「とても美味しいんですよ。湯葉とか、鶏肉とか、大分の食材がいっぱいで,,,」

ニコニコと嬉しそうな芽以には悪いが、この能天気ぶりはいかがなものか。

「浮かれてるところ悪いけど,,,芽以、今、お前、インフルエンザで病休設定だろ?」

「ええ?有給申請したはずなんですが,,,」

芽以のあたふたする様子が可愛い。

「その辺も含めて、まあ、飯の後に確認とお仕置きだな」

芽以の表情が固まった。

"こいつをいじるのは楽しい"
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