ツンデレ黒王子のわんこ姫
「あんなこと言って美術館は大丈夫でしょうか?」

社長に啖呵を切ったあと、二人は桃山コンサルタント株式会社の玄関を出て、結婚後に住み始める予定のマンションに向かった。

そこは、二人で考え抜いて選んだ分譲マンション。

インテリアも雑貨も、二人の気に入る物だけを選んで購入した。

芽以は結婚後に引っ越す予定となっていたので、きちんとインテリアが配置された現状を見るのは初めてだった。

エレベーターを降りて玄関に入ると、整えられた室内を見て芽以が立ち尽くす。

幸せいっぱいで引っ越して来るはずだったのに、なんだか切ない想いに泣きそうになる。

「こんなはずじゃなかったのに,,,」

涙を浮かべた芽以の肩を、健琉がそっと抱き寄せる。

「健琉さんは桃山のお二人が怖くはないのですか?あの二人には良くしていただいておりましたが、一度敵に回すと容赦ない方達だと父が言っておりました」

「芽以を失う以上に怖いもんなんてないだろ?」

ドヤ顔で言い切る健琉に芽以の頬は真っ赤に染まる。

「ていうか、あんなの喧嘩にもならねえよ」

健琉の自信満々な顔に芽以の表情もホッとした様子を示す。

「芽以は何も考えずにここで俺を待ってろ」

いつもの俺様然とした健琉の腕にギュッと抱きつく芽以。

「やっぱりそんな健琉さんが好きです」

微笑む芽以の唇に健琉の柔らかな唇が重なる。

「そんじゃ、今日も俺を大好きな芽以を可愛がってやらないとな」

健琉は芽以の腕を引っ張りそのままバスルームへ直行した。

驚く芽以を歯牙にもかけず、健琉はゆっくりと二人だけのバスタイムを楽しんだ。

のぼせた芽以をベッドルームに運び、言葉通り、健琉が芽以を堪能したのは言うまでもない。

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