甘い運命

1-11


真面目に、卒倒するかと思った。

正気に戻ったのは、周りの女の子たちの黄色い歓声のお陰だ。

そして、刺すような視線がいくつも。

大丈夫ですよ、わかってます。
修一さんは、私を庇ってくれたんだ。
私が惨めな思いをしないように。

修一さんは、甘々モードのまま、手を繋いで私を車にエスコートした。

助手席に座って、膝の上でギュッと手を握った。
大丈夫、動じないこと。色んな意味で。
ふうと息をついて、落ち着こうとする。

修一さんが、運転席に乗り込むなり、頭を下げた。

「さっきはごめん。俺がふざけたから、都に嫌な思いさせた。」

「大丈夫ですよ。あんな風に言われるの、いつものことですし、慣れてます。
庇ってくださって、ありがとうございました。」

精一杯の笑顔を向けて、修一さんにお礼を言う。
修一さんは、何か言いたげな表情をしたけど、私は冗談を言うように続けた。

「それにしても、修一さんの『愛してる』は、破壊力抜群ですね!
女の子たちの黄色い歓声ったら!
私、役得ですねぇ。」

これは本当に思ったことだ。だから、心からの笑顔で言う。

「……そう?都はあれで絆されてくれるの?」

ふわりと笑って、修一さんも乗ってくれる。いつもの感じだ。

「だから、恐れ多いですって。色々聞こえてたでしょ?似合わないとかブスだとか。
私に対する世の中の評価なんて、そんなものですよ。
イケメンには美女って相場が決まってるんです」

「……そんな相場、いらないんだけど。」



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