甘い運命

1-12


空気がピリッとした。
修一さん、……怒ってる。

「俺にとっては、俺の好きな人が一番綺麗で一番可愛い。
周りがなんて言っても、関係ない。
俺の、気持ちなんだから。

都も、そんな自虐やめろ。
少なくとも、さっき色々言ってた女たちより、都は綺麗だし可愛い。
お前の価値を、お前自身が落とすな!」


厳しい口調で、投げ掛けられた言葉。

──その通りだ。修一さんは正しい。

他人の勝手な思いで、その人の考えを決めつけるのは失礼なことだ。
私は、とても失礼なことを言ってしまった。

そして、有難い言葉だ。
私の価値を、私が思う以上に感じてくれているのがわかる。
人としての、敬意を感じる。

こういう風に言える修一さんは、ただのイケメンではない。
本当に素敵なひとだ。

そんな修一さんと、友達でいられることは、私の喜びであり、誇りだ。

友達として、修一さんの役に立っていこう。
私は、決意を新たにした。

「はい!!仰る通りです!
失礼なこと言って、ごめんなさい。
私には抱き枕として、誰にも負けない自信があります!
これからも、お役に立ってみせます!!」

両拳を握りしめつつ力説する。

修一さんは、また溜息をついて、何か呟いた。

「え?何か仰いましたか?」
「いや、何でもない。今から部屋に荷物置いて、飲みに行くか。」
「いや、今日は帰らないと…」
「このまま帰せるわけないだろ。今日は泊まれ。拒否権なし!!」
「そんな横暴な………」
「何か言った?」
…………
………………………

ハイ、言うこと聞かない人でした。
ちょっと忘れていました。

そのままズルズルと居酒屋に連れて行かれて、お泊まりコース。

ほろ酔いで居酒屋を出る頃には、ショッピングモールのことは、遠い出来事になっていた───
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