甘い運命

1-41

───色々と思い出しちゃったな。

ベッドから、ゆっくりと起き上がる。

ベッドサイドの小さなチェストに置いていたスポーツドリンクをちびちびと飲んで、乾いた喉を潤した。

そうそう。そうだった。
昔から、私は恋愛に向かないんだった。
最近ちょっとおかしくなってた。油断してた。

その代償は、今から払う失恋の痛みだ。
これに、きちんと懲りよう。

気を緩めると出そうになる涙を、何とか抑える。
昼過ぎに岬が来るから、泣くのはその後だ。
そして、瞼をしっかり冷やして寝るしかない。

仕事には、絶対に影響を出したくない。
定年までやっていくのに、失恋なんかで信用を失う訳にはいかない。

私は大丈夫、大丈夫……

何度も暗示をかけていると、ピンポン、と呼び鈴の音がした。

あれ?岬、早いな。
まだ10:00過ぎなのに。

私は昨日より随分楽になった身体を起こして、外を確認せずに玄関の鍵を開けた。

「岬、早いね。唯人は大丈夫な……」

言いながら、ドアを開けた。
そのまま固まる。

目の前に立っていたのは、三上さんだった──



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