甘い運命

1-52

暫く考えた後、修一さんは強い目で私を見つめて、口を開いた。

「改めて言うよ、都。
俺と結婚を前提に、付き合って。」

「え?は、はい。もちろん。喜んで。」

さっきお互いのお付き合いの意思確認はしたよね?
どうして2回目?

私が不審そうな表情をすると、修一さんはニヤリと笑った。

「よし、じゃ、来週、都のご両親と会わせて。」

「……は?ええっ?!来週?両親?何故?!」

驚きすぎて、単語でしか話せない私。

ええと、確かに生まれて初めての彼氏で。
お付き合いのお作法など存じませんが。

彼氏ができたらすぐ、親に挨拶とかするものなのでしょうか?

考えてもわからないのでそのまま修一さんに聞くと、アッサリそうだよと言われて、すぐ母親に連絡させられた。

運がいいのか悪いのか、両親の週末の予定はなし。

「よかった。楽しみだ。」

ニッコリ笑って修一さんは言う。
……よくわからないけど、なんだか嵌められた感満載だ。
憮然としていると、宥めるように頭を撫でられた。

「都、わかってる?」

「何がですか?」

「都は、俺のプロポーズを受け入れたんだよ?
もう変更はなし。決定だから。」

「えええ?!お付き合いの話じゃなかったんですか?!」

「俺のメインは、『結婚を前提』の部分。
というわけで、どんどん進めるよ?
都の家にご挨拶に行くのが日曜日だから、土曜日に婚約指輪を買いに行こう!
次の週末は俺の実家に行って、式場も探さないとな!」

……語尾に音符が見える……。やっぱり嵌められてる……!

それはもう嬉しそうに、修一さんは計画を立てだした。
こうなったら、もう修一さんは私の話を聞かない。

ヤバい、その様子を見て『幸せだ』と思ってる私は、重症だ。

わかってる。
私の不安を取り除いてくれているんだ。
こんな究極のやり方で。

でも…それで結婚を決めるのは。
私のためだけに修一さんの未来を縛ってしまうのは、おかしいし、嫌だ。

やはり、きちんと話さないといけない。
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