甘い運命
おまけ

1



両親の都合で土曜日に、結婚の許可を得るべく修一さんと実家に来た。

話を聞き付けた岬一家も揃っていたが、雅人さんと唯人は挨拶の時は席を外してくれていた。

私の年齢も年齢だし、相手が修一さんだし。
それはもう好感度抜群で、あっさりと許可が出た。

許可、というよりも、熨斗をつけて差し出されたような気さえする。

だって、「都さんと結婚させてください。」と、流石に緊張した声で言う修一さんに向けて、父さんは即答で、「いいよ、いつ?」と返したのだから。

──そういえば岬の時もそうだった。
これ、父さんの通常運転か。



「都、良かったなぁ。父さんは、都は一生この家にいるんだと覚悟してたぞ。」

「……それにしても、雅人さんでイケメンは見慣れたと思ってたけど、修一さんはまたタイプの違うイケメンねぇ。
眼福だわぁ!」

父さんと母さんの、全く噛み合わないコメントも、通常運転だ。


「結婚式の前ですが、できればもう一緒に住みたいと思っています。こちらもお許しをいただけませんか。」

突然言い出した修一さん。
私も初耳なので、ビックリして修一さんを凝視した。
驚きすぎて、リアクションが取れない。
取り敢えず黙って様子を見た。

私の戸惑いをよそに、両親は快諾。

母さんは何か察したのか、「さっさと一緒に住んじゃって、修一さんに逃げられないようにしなさい。」と勧めてくる始末。

「それは絶対にないですが、進めていいのでしたら…」

修一さんは、ここぞとばかりに結納と結婚式の日取りを確認しはじめ、父さんたちと詰めていく。

仕事のできる人は…以下省略。
私はどうやら、この波に乗っていればいいらしい。

「──おねーちゃん、捕獲完了。」

両親と修一さんのやり取りを生暖かい目で見ながら、岬が呟いた。

「おにーさん、囲い込みが完璧だね。」

私は苦笑いを返した。
話が早く進みすぎて、付いていくのに精一杯だ。
敢えて、私に考えさせる暇を与えていないような気もする。

恐るべし、修一さん!
一生勝てる気がしない。


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