甘い運命

3

コーヒーとタルトをいただきながら、家族のこと、年齢のこと、仕事のことなど、聞かれるままに答えていく。

ご家族のことも伺う。

お父さまは、商社で仕事をされている。修一さんと同じ会社かどうかはわからないが。

お母さまは、昔モデルをされていたが、今は主婦の傍ら、パッチワーク教室をされているそうだ。

玲二さんは、30歳。私よりひとつ上の学年だ。
昔モデルをしていたそうだか、今は美容院を経営している。私も知っている、結構有名なお店だ。6店舗くらいあるんじゃなかったかな?
イケメン社長さんだ。すごいな。

杏花さんは現役モデル。25歳で、もうすぐ現役を引退して、玲二さんを手伝うそう。

実は、杏花さんの引退は、彼氏さんと婚約が調って、結納直前だかららしい。
玲二さんの親友で、共同経営者の方がお相手。写真を見せてもらうと、とても優しそうで落ち着いた雰囲気の、素敵な方だ。

「お義姉さん、同い年に子どもを産もうよ!
従兄弟は年が近い方がいいよ!」

かなりなついてくれた杏花さん、ニコニコしながら言ってくれる。
そうだね、できたらそうしたいね、と答えていると、修一さんが口を挟む。

「子どもは自然に任せるよ。
子どもがいてもいなくても、俺は都がいればいいから。」

ピキッとまた場が固まる。
折角和んできたところなのに…。

でも、家族の皆さんも、修一さんの言動に反応しすぎじゃない?


「……修兄、キャラ変わりすぎ!デレッデレじゃない。

あっ、お義姉さん、また近いうちに修兄と遊びに来てよ!
友紀呼んどくから!

これ絶対見せたい!!」

友紀さんというのは、杏花さんの恋人だ。
横で玲二さんも頷いてる。

えーと、要するに、修一さんは『ご家族の前では歴代彼女さんと、こんな雰囲気ではなかった』ということかな。

ちょっと考える顔をしていると、修一さんが慌てて声をかけてきた。

「都、変な誤解するなよ?!
家族にきちんと紹介したのは、都だけだ。

玲二と杏花にはたまたまデート中に会ったことはあるけど…って何言ってるんだ俺…」

「つまりですね!」

無理矢理玲二さんが、会話を引ったくった。

「修兄さんが、彼女を連れてこんなに嬉しそうにしてるの、俺たちも見たことないんです。

家でも、何に対しても冷静で感情を表に出さないのに、今日は結構感情が剥き出しで驚いてます。家族全員。」

うんうんと、皆が頷いてる。
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