甘い運命

10

「…素敵なご家族ですね。」

駅までの道を歩きながら、私は修一さんに微笑んだ。
本当に楽しい時間だった。

「そう?都の家には負けるよ。

俺、家族でいてあんなに笑うことない。
誰が話しても、漫才聞いてるみたいだ。」

「…それは褒め言葉なんでしょうか?!」

ちょっとむくれたフリをして立ち止まると、修一さんは優しく私の髪を撫でながら、ニッコリと笑った。

「いいじゃない。どちらの家ともうまくやれそうで。

もうやっぱりさ、これって運命だったよね。
俺と都が出逢うの。

何から何まで、パズルのピースがぴったり嵌まるように、整っていく感じがする。

もう、運命だから。
諦めて、一生俺の側にいるんだよ。」

「わかってますって。
嫌だって言ったこと、一度だってないでしょ?」

「どうかな。
一回俺から離れていこうとしたくせに。」

冗談ぽく言われて、でもちょっとしたトラウマになっているのも察せられて。
私は、修一さんとしっかり目線を合わせて、口を開いた。


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