毒林檎がなくても
「お母さまだなんてたくさん呼んでしまったけれど、いつもはね、そうお呼びしてはいけないの。定められた呼び名があるのよ」
美しい黒髪をほつれさせたまま、白雪姫は足元に視線を落としました。
「寂しいけれど、あの方がそうお命じになったのだもの、御前ではそうお呼びする他ないわ。でも、本当はずっと、お母さまとお呼びしてみたかったの。……秘密よ?」
お嬢さん、とお妃さまの口からかすれた声がこぼれました。
「ごめんなさいね、おばあさん。変なお話を長々聞かせてしまって。お付き合いくださってありがとう」
お疲れでしょう、なんてお妃さまを気遣います。
「それで——大変遠回りをしてしまったのだけれど、林檎をもう一ついただけないかしら」
お代はきちんとお支払いするけれど、駄目かしら。
おそるおそる伺うように王妃さまを見つめる白雪姫に、
「……いいや、お代はいらないよ」
魔女はばさりとフードを下ろして、醜い容姿に見せかける魔法を、ゆっくり解きました。
美しい黒髪をほつれさせたまま、白雪姫は足元に視線を落としました。
「寂しいけれど、あの方がそうお命じになったのだもの、御前ではそうお呼びする他ないわ。でも、本当はずっと、お母さまとお呼びしてみたかったの。……秘密よ?」
お嬢さん、とお妃さまの口からかすれた声がこぼれました。
「ごめんなさいね、おばあさん。変なお話を長々聞かせてしまって。お付き合いくださってありがとう」
お疲れでしょう、なんてお妃さまを気遣います。
「それで——大変遠回りをしてしまったのだけれど、林檎をもう一ついただけないかしら」
お代はきちんとお支払いするけれど、駄目かしら。
おそるおそる伺うように王妃さまを見つめる白雪姫に、
「……いいや、お代はいらないよ」
魔女はばさりとフードを下ろして、醜い容姿に見せかける魔法を、ゆっくり解きました。