毒林檎がなくても
「お父さまとはあまりに身分差があったから、お母さまは断れなかったのだと思うわ」


白雪姫は裾をきつく握りしめました。


「もし本当にそうだとしたら、お母さまはお父さまをどうお思いかしら。……その娘であるわたしを、どうお思いになるかしら」


お妃さまも裾をきつく握りしめました。


「きっと、明確に目の敵にされていないだけ、お優しいのではないかと思うのよ」


だからね、おばあさん。


「わたし、お母さまを嫌ってなんていないのよ」


悲しそうに呟いて、白雪姫はそっと笑います。


「お母さまは、本当に聡明でご立派で、お優しい方だと思うわ。御姿も御心も本当にとても美しい方よ」


お妃さまは、唇をきつく結びました。震える吐息がもれてしまいそうでした。


「わたし、たとえ義理であっても、あの方の娘であることを誇りに思うもの。お母さまにも誇りに思っていただけるような娘になりたいのよ」


そうして、できたら。


「お母さまと、呼ばせていただきたいの」


白雪姫は花の咲くような顔で笑いました。
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