曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。



電流が走ったみたいに、
あたしの体がびくっと震えて動かなくなった。

 
一瞬、世界から音が消えた。


頭はフリーズして、真っ白。


こんなことありえるわけないと思うのに、
記憶の中の声と
今、耳に入ってきた声が
一致してるのは嫌でもわかった。


今井、ユウスケ。


何度も、忘れようとした名前。


どうして。


なんでなんでなんでなんでなんで!?


ぱらぱらと拍手が起こったけど、
あたしはそんな余裕はなかった。



一気に、
忘れていた感情が掘り起こされる。


心臓のドキドキがどこまでもひどくなって、
このまま爆発するんじゃないか、ってくらいになって。


全身の血がうるさく騒ぐ。


体温が急上昇する。


体中が熱くほてる。



懐かしい記憶が、
あたしのなかを猛スピードで駆け巡る。





佐藤さん、ってあたしを呼ぶ声とか、
遅い。って怒ったように言うところとか、

一緒に駅まで歩いたときのこととか、


助けてくれたときのこととか、



・・・1番消したかった、
今井さんに関する1番最後の記憶、


こはる  

ってあたしを呼ぶ声も。



自分で押さえつけていた記憶が、
一気に解放されてあたしの中を満たす。



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