曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。
頭をあげたくても、あげられなかった。
今井さんは、
今、どんな風になっているんだろう?
ノートに目を落としたまま、
あたしはどこも動かせない。
気付いたら授業は始まってて、
今井さんの声と、
黒板にチョークがあたる音が聞こえる。
今井さんの声を聞けば聞くほど、
気持ちが溢れる。
あたしは全然、忘れられてなかった。
今井さんに、恋する気持ち。
忘れてなかったどころか、
会わなかったせいで
より一層ひどくなっている気がした。
胸が苦しくて苦しくて呼吸をするのさえ難しい。
やっぱりあたしは、
この人が好き。
授業、聞かなきゃいけないのに
顔あげられなくて黒板見れないし、
今井さんを見たらあたし、どうにかなりそう。
あたしは、明らかに浮いてるように見えると思う。
だって、ノートを見たまま一切動かないでいるから。
ノートをとるでもなし、黒板を見るでもない。
今井さんに、気づかれたくない。
気づかれて、話しかけられたりしたら
あたしもう耐えられない。
だから、目立たないように、
あたしはチョークの音がしているときに、
黒板を見て板書しようと、
おそるおそる顔をあげてみた。
っ、、、
スーツ姿で黒板に書いている今井さんの後ろ姿。
少し離れたところに、
『今井悠介』
って書いてあった。
こういう、字なんだ。
今井さんが黒板に書き終わって、
こちらを振り返りそうになったとき
あたしは慌ててシャーペンを持ってノートをとり始めた。
今井さん。
見てみたいけど、見れない。
でも、声の調子からはぶっきらぼうな感じがしない。
あのとき見た営業スマイルでやってるのかな。
それとも、
人が変わった?
・・・それは、ないか。
プライベートでも無愛想な感じだったし。
とにかく、早く授業終わってくれ。
お願い。
これ以上、今井さんの声を聞いていたくない。