曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。



「・・・ほんと?


ほんと、なのか?」


そんなの、こっちが聞きたいよ。


今度は大きく頷いた。



「・・・良かった。


佐藤さんには、怖がられてると思ってた、から。


佐藤さんとどうやったら仲良くなれるのかわかんなくてさ、

とにかくいろいろ文句つけてたから。


・・・良かった、わ。」



なにその、理由。

そんなの、わかんないって。

わかるわけないよ。

あたしに注意するときの今井さん、
すごく怖いんだから。


あたしは、嫌われてると思ってたよ、そのせいで。


「でさ、いい加減、顔あげて俺のこと見てくんね?」


む、無理だよ、むりむり。


あたしがぶんぶんと首を横に振ると、
今井さんの、
はあ、っていうため息が聞こえてきて、
同時に、
頭の後ろとあごに今井さんの手がのびてきて、
顔をぐいっと上に向かされた。



っ。


今井さんが触れたところが、
熱い。


今井さんに、初めてふれた。


ドキドキはもっと速くなって、心臓がパンクしそうだった。


今井さんの手が動いて、
温かい今井さんの2つの手が、
あたしの顔に触れて、
あたしの両頬を包む。


あたしへの触れかたは、どこまでも優しくて。


あたしの目に映った今井さんは、

あたしの大好きな笑顔をしていて。


一粒の涙がつうっとあたしの頬を伝った。


うわ、いけない、泣いちゃった。



「なに、泣いてんの。」


今井さんは優しく言って、指であたしの涙をすくった。


「こはる。



好き。」


今井さんの甘い声と甘い表情に、あたしはもう死にそうだった。

とりあえず、
あたしの顔から手をどけてくれないと、ほんとにやばい。


好きな人に好きって言われるなんて、
本当に、夢みたいで。

いまだに、
今井さんと両思いになれたなんて、信じられない。



「こはる、は?」


「あたし、も、


好き、です。」


今井さんは、ちょっと意地悪そうに笑って続けた。


「誰のこと、が?」


そ、そんなの、決まってるじゃん。
い、意地悪だ・・・。


「今井さんの、こと。」


「今井さん、じゃなくて、他の呼び方して。」


「・・・・今井、先生?」




「ちげーわ。


・・・俺の下の名前、知らねーの?

最初の授業で、しゃべったんだけど。」


っ、、、。

完全に、あたしのことからかって遊んでる。



「知ってます、けど・・・!」


「じゃあ、何?」


「・・・ゆ、悠介、さん。」


「ふっ、

よくできました。」


そういって嬉しそうにあたしの頭を撫でた。


だからもう、心臓爆発しそうなんだってば!!!


「でも、さんは、いらない。


はい、もう一度。」


え、・・・・。


ま、また?


今井さんはにこにこしたままこっちを見てるだけ。

また言うとか、
もう、
ほんとにこっちは緊張してるんだから。



「・・・悠介。」


「ん、いいね。これからそれで。


今井さんは禁句。

あと敬語も禁止。」



え、・・・・・!!!


い、いきなり、
そんなの無理だってば。




でも、すごく嬉しくて嬉しくて、まだ信じられない。


今井さんのカノジョになれたとか、
ほんと、
今までずっと片想いしてきて、良かった。


これからもっと、
今井さん、うっ、悠介のこと知りたい。

もっと、あたしのこと好きになってもらいたい。





ここから始まる、あたしたちの物語。


大好きな人とつくる、物語。


「こはる、よろしく、な。」



「うん、よろしくね」


ふたりの笑顔が、
晴れた夕焼け空の下に弾けた。



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