曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。


答案返却が終わって、下校の時間になった。

アイちゃんは、
嬉々として教室を出ていった。
今ごろは田代くんと合流してるのかな。


前に、アイちゃんに田代くんがどの人か教えてもらったんだけど、
すごく優しそうな人。
おっとりしてそうな感じで、ふわふわした雰囲気をまとっている。


あたしは今日は珍しくバイトがなくて、
これからどうしようか帰りの仕度をしながら考えていた。


家に直行してもいいし、どこか寄っていってもいいなあ・・・。
でも、行きたいところがない・・・。


やっぱり、帰るかあ。


よいしょ、とカバンを肩にかけて教室のドアに向かおうとした。


「佐藤さん。」


中島くんに声かけられた。


「ん?」


「あー、あの、今日、
木村が騒いでて知ってると思うんだけど
バスケ部部活なくて。


俺も、ないわけなんだけど。


あー、これから今日、用事とかある?」


「えっと、特にないけど・・・、

なんか体育祭委員の仕事でもあるの?」


「あ、全然違くて。




・・・一緒にどっか行かね?


昼飯とか。」


中島くんは頭を掻きながら遠慮がちに言った。

え、どうしよう。

男の子とふたりで遊ぶとか、あたし、今まで経験ない。

でも中島くんなら仲良いし楽しいかもなぁ。

ちょうど今日ヒマだし。


「え、あたしはいいけど・・・。」


中島くんの顔がぱあっと明るくなった。


「まじで?いいの?」

「う、うん。

でも、行くアテとか無いよ?」


「全然いい、全然いい!!!」


「そう?じゃあいいよ。

あたし、おなかすいちゃったな。」


「それなら昼飯だな!


近くのファミレスでも行く?」


「うん!あたしはそれでオッケー。」


「わかった。俺も大丈夫。

よし、行くか。」


こうして、あたしは急遽
中島くんとふたりで遊ぶことになりました。


あたし、大丈夫かなあ。

まあ、中島くんだし。

というか、アイちゃんが聞いたらなんて言うかな・・・。

爆笑されるか、驚かれそう。


いや、どっちもか。




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