曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。

それからアイちゃんたちは帰って、ほっとした。


アイちゃんと田代くん、仲良さそうだったな。

幸せそうだった。



バイトが終わって、
今井さんのところにお礼を言いに行くか迷ったけど、
あたしのためだっていう確信はなかったし
自惚れてるみたいだからやめた。


それに、アシダさんがベッタリだったから。


すごく、見てて嫌。
見ていたくない。

アシダさんが入ってきてから、
あたしに今井さんが何か注意してくることはなかった。


多分、アシダさんが今井さんにまとわりついてるからだと思う。


今井さん、
アシダさんには、あの日見た優しい笑顔を何回も見せてるのかな?

何それ、もやもやする。
やだ。
考えたくない。



でも、あたしが帰ろうとしてると
今井さんがあたしのところに来た。

そのときアシダさんは、
誰かに注意を受けてる最中だったと思う。





「佐藤さん、


困ったときは
俺に言ってくれればなんとかするから。」



・・・やっぱり、あたしのためだったってこと?


「ありがとう、ございます。」


なんでそんなに、あたしに優しくするんですか?
この前といい、今日といい。

嫌いじゃ、ないの?


つい、下の方に目線を落とす。



「ん。お疲れ様。」


「はい。お疲れ様でした。」



そう言って目線を上にあげて

今井さんを見て、




思わず、ごくりとつばを呑んだ。


あの、ほめられた日と同じ、
ふわっとした笑顔であたしのことを見ていた。


うわ、この表情の今井さん、すごく好き、だな。

胸が高鳴って、ドキドキする。




もう見れないかなって思ってたから余計に嬉しくて、

久しぶりに見たその表情に、
つい見とれてしまった。



「・・・何?」


すぐに笑顔は消えて、いつもの表情に戻ったけど、
いつもほど不機嫌そうな感じではない気がした。


「す、すみません!なんでもないです!!
お疲れ様でした!!」


あたしは逃げるようにして店を出た。


は、恥ずかしい。見とれちゃったとか。


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