男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「えっ? こ、ここにですか?」

「そう言っている」


クロードの鋭い瞳で見られるとなにもかも見透かされてしまいそうで、座りたくなかった。しかし、クロードの言葉は絶対だ。

ミシェルは静かに椅子に腰を下ろした。


「お前も飲め」
 

クロードの言葉にミシェルの目が大きく見開く。


「ぼ、僕もいただくのですか?」

「そう言っている。腹をすかせたままでは酔いも回るだろう。料理も食べろ」
 

クロードは少し離れたところにいるアベルに視線を向ける。
 
アベルはすぐさまやって来てミシェルの前に皿とグラスを置いた。それからアベルはワインをミシェルのグラスに注いだ。


「飲め」

「は、はい。いただきます」
 

ミシェルは極上のワインを口にした。

ワインを飲みなれていないミシェルはほんの少し口にする。家で滅多に飲まないワインよりはるかに美味しいのだろうが、味はさっぱりわからない。酔っぱらってしまったら大変だ。一度、ワインを一杯飲んで正体を失くしたことがある。
 

翌日、起きてフランツにバカにされ、母親が息子を叱ってくれたことを思い出した。


(お母さん……おじいちゃんはわかってくれたのかな……お母さんを連れて家を早く出て……)
 

土地が欲しいために自分を男装させたわけだが、それが仇になってしまった。土地はもらい受けることが出来ず、命まで危ないのだ。


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