今夜、シンデレラを奪いに
何にも答えてくれない一方的な会話にも疲れて、不意に眠気を感じる。重たく感じる頭をその人の胸に乗せて目を閉じた。

不思議と安心感があって、フワフワと意識がぼやけていく。


「また寝てる……。呑気な女」












目を覚ましたら、窓からは眩しい程の日射しが照りつけていた。


「…………!?」


あの人はどこ?


辺りを見渡しても誰もいない。それどころか私はベッドに寝かされている。この固いベッド…………ここは会社の仮眠室だ。


体を起こすと小さな音がして、ベッドの下に何かが転がった。社章とも違う、銀色の四角い小さな飾り……これは何だろう?あの人が持っていたもの?



ツヤツヤしたピンのようなアクセサリーを鞄にしまい、身支度を整えてオフィスに戻った。



それが、長い長い失恋の夜の終わり。

暗闇にいたあの人のことは何も分からないまま、それから1ヶ月が過ぎた。
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