今夜、シンデレラを奪いに
「いえ問題ありません。上司に男を紹介しろなどと難題をぶつけられて頭が痛いだけです。」


「そーですかー」


顔色が悪く見えたのは気のせいだったかな。憎まれ口を叩く様子はいつも通り変わらない。


「元気なら仕事の説明させてもらうけど」と前置きして真嶋に会社で開催するセミナーのために準備してほしいことを伝えた。


「最近のトレンド情報は、鴻上さんに協力してもらって戦略事業部から集めてくるつもり。」


「コウガミ…………

わかりました。それも俺がやっておきます。」


「鴻上『さん』!呼び捨て禁止って言ったよね!!

情報収集は私が担当するから……」


「いいえ、俺がやります」と強く言い切られて、手に持ってた資料も強引に奪われる。そんなにやりたいなら彼に譲るしかない。



だけど真嶋は私と違って忙しいのに大丈夫なのかな。真嶋は前の部署の引き継ぎが済んでいないらしく仕事を掛け持ちしていて、早口の英語で電話をしてることも多い。







しかし翌朝になると、私の心配をよそに平然と仕事を仕上げている。


「昨日依頼された件、サーバにデータ送りました」


「早っ!もう終わったの!?」


確認すると、内容は完璧……というか自分でやるよりずっと完成度が高い。


「ありがと……。でもやっぱり真嶋、体調悪いんじゃない?」


冴えない顔色と、額にうっすらと汗が見える。その汗すらちょっと艶っぽいと思ってしまったことは態度には出せない。


「いえ、オフィスが暑いだけです。問題ありません」


確かにクールビズの影響で社内のエアコンは控えめだ。そのため、社員にはカジュアル通勤が許可されてる。


だけど真嶋から憎まれ口が返ってこないのはすごく変な感じがするんだけど……?
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