ライアー
「如月さんお疲れ様です。」

「お先に失礼します。」

帰って行く社員横目にパソコンに向き合う。

趣味も特にない俺は働くことで心の隙間を埋めてる気がする。

「先輩!まだ仕事ですか!?もういい加減にしないと倒れちゃいますよ。この前の合コンも如月先輩が急に仕事が入ったから代打を探すの大変だったんですからね。」

「そんなの知らねーよ。もともと、もし暇だったらって話だったじゃねーか。こっちは仕事してんだよ。」


「そうは言っても!とびっきりのイケメンが来るって相手の女の子もレベル高めに揃えてもらったのに、なんか微妙な空気になっちゃいましたよ!」


「人のせいにすんな。オンナは男の顔なんざ見てねーよ。男は金とトーク力だ。」


「そんなこと言わないでください!お願いします!助けてください!」


急に態度を変えたと思ったら、土下座する勢いで、頭を下げてきた。

「この前失敗を挽回するためにもう一回約束を取り付けちゃったんです!今度はうちの最高傑作を持って来るからって言っちゃったんです!」


「は?ほか当たれ。」


「お願いします!可愛い後輩の片思いがかかってるんです。」

そういうことか。つまり、合コンを餌に好きなオンナでも呼び出したってとこか、なかなか面白いじゃねーか。

黙ってれば向こうから言い寄ってきそうなもののここまで必死になってる様子にこいつが惚れてる奴がどんなやつか見てもいい気がしてきた。



「まあ、いいんじゃねーの。」
< 22 / 27 >

この作品をシェア

pagetop