ヴァンパイアの花嫁
「わたくしのここに唇を当ててください」


レオンの肩に手を置き、自分のうなじをレオンの口元に持っていく。


レオンのような王族のヴァンパイアに血を吸われる時は痛みより気持ちが良くなる。


一種の麻薬のような快感が身体の中をめぐる。


「ずいぶんとご無沙汰ですわ。早くお願いします。レオン様」


レオンは細いうなじを目にして露骨に嫌な顔をした。


カサンドラの誘惑は他のヴァンパイアには逆らえないだろう。


だがティナしか見えないレオンは違う。


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