ヴァンパイアの花嫁
「ティナ、飲むんだ!」


ティナの口はレオンの首の傷口に触れる。


だが、ティナの口の中にレオンの血は入らない。


レオンの血を飲めば血の契約でティナはヴァンパイアになり助かるはず。


「ティナ、飲んでくれ。でないと君は死んでしまう!」


レオンの悲痛な声はティナに聞こえていた。


レオン……。


必死にあたしを助けようとしてくれている……。


でももうだめ……。


レオンの血が唇に付き、錆のような匂いがした。


レオンの血……あたしの為に身体を傷つけたの……?


朦朧とする意識。


暗闇の底に引きずり込まれそうな感覚。


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