緋色の勇者、暁の聖女
だけど、僕たちが行こうとすると男の子のは突然、顔を上げた。そして僕たち一人一人の顔をゆっくりと確認するように見回し、今まで何日も話さなかったのが嘘のように大きな声で言った。
「――――待ってるから! お前たちがアエーシュマを必ず倒すって、信じて待っててやるから! だからお前たちも俺の事を忘れるな! 絶対、帰って来い!!」
男の子はぼろぼろと泣きながら叫んでいた。
「俺の名前はクランだ! 絶対忘れるな! 絶対帰って来い!!」
男の子――――クランの涙はその顔が小さくなって見えなくなるまで、ずっと止まる事はなかった。
◇
「――――待ってるから! お前たちがアエーシュマを必ず倒すって、信じて待っててやるから! だからお前たちも俺の事を忘れるな! 絶対、帰って来い!!」
男の子はぼろぼろと泣きながら叫んでいた。
「俺の名前はクランだ! 絶対忘れるな! 絶対帰って来い!!」
男の子――――クランの涙はその顔が小さくなって見えなくなるまで、ずっと止まる事はなかった。
◇