緋色の勇者、暁の聖女
エピローグ

















「――――……くん」


 人の話し声が聞こえる。

 辺りは、ざわざわとした雰囲気。目を閉じていても分かる、顔に光が当たりジリジリと焼けつく様な暑さ。湿気を含んだぬるい風が頬を撫でた。


 暑い……


 どこかで同じ想いをしたような気がする。


 暑い……


「――――……か…き……くん」


 ああ……全部夢だったのかな。

 魔法の世界も、悪魔や聖女。僕はずっと夢をみていたのかな。ここは何処だろう。

 そばにいるのは、誰だろう……?


「神無月君!」


 いきなり大きな声が耳に飛び込んできた。驚いて目を開けると、そこには――――


「神無月君! ああ、よかった! やっと目を開けてくれた!」


 泣きそうになっている少年。

 ああ、覚えている。彼は同じクラスだった。

 まだぼんやりとした頭を抱えながら、僕は半身を起こした。


 ここは――――学校の屋上……!

 僕は帰ってきたんだ!


 ぐるりと見回すと、レイといたあの屋上に僕はいた。着ていたはずの緋色の服も、いつの間にか学校の制服に変わっている。


 やっぱり……夢だった……?


「大丈夫? 神無月君?」


 クラスメイトが心配そうに、僕の顔を覗き込んだ。


「あ……うん。僕、どうしたんだろう?」

「終業式が終わってここに来たら、神無月君が倒れてたんだ。式にも出てなかったし、熱中症でずっとここに倒れてたのかと思って……」

「え……ちょっと待って? 終業式って……今日?」

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