片思いに憑かれました

「おっ、徳さんあったかそうだねぇ」

「やあ、いつもの頼むよ」

「いらっしゃいませ、コート、こっち掛けときますね」



大常連の徳さんは店に入るなりガバっと勢いよくコートを脱いだ。

よく見るとこめかみに汗を滲ませながら少し顔を赤くしてる。


おしぼりとお冷を運ぶと、徳さんは素早くグラスを手にして一気に飲み干し、おしぼりを広げてがしがしと顔を拭いた。

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