【続】0.0000034%の奇跡



後日お会いしたのは半袖Yシャツ、ネクタイ姿の温厚そうなガッチリ系おじさんだった。
ハンカチで汗を拭きながら私に気付き立ち上がる。



クリニック隣の喫茶店。
休憩時間とはいえ、スクラブで来てしまった自分が急に恥ずかしく思った。



出演した事はない某有名バラエティー番組のプロデューサーの方で直々に出演交渉に来てくれたらしい。
中堂さんとこれからお呼びする人は、空調の一番当たる位置に座っているにも関わらず汗が止まらない可笑しな人でした。



注文したアイスコーヒーがくると同時に本題に入る。







いつの間にか気付いたら、温かい雫が頬を伝って落ちていた。
それは中堂さんが優しく心地良い声だからという理由ではない。
素直に心に響いた、紛れもない事実。



「すみません…」と涙を拭うけどやっぱり堪えきれなくて嗚咽が出る。
顔を背けても、上を向いても視界は揺らいで中堂さんを困らせてしまう。



「毎週届く何百通もある中のたった1枚のハガキで突き動かされている自分が居ます。私も槙田先生の動画を拝見して感動した1人でもあったので…身近に感じる夢というか…実際にお会いして伝えたかったんです」



そのハガキも見せてもらった。






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