【続】0.0000034%の奇跡



「最後、おまけ!とバイバイ!が可愛かったです」って患者さんにも言われる始末。
そして皆さん帰り際に次の弾き語りのリクエストを言ってくる……
恥ずかしいけど正直、嬉しさの方が勝ってます。



SNSでもリクエストの嵐でパンクしそう。
智くんもお客さまからたくさん声をかけられたって。



「横で聴いていたんですか?って聞かれたからハイって言ったらキャー!贅沢!って言われちゃったよ」



嬉しそうに言うから「贅沢でしょ?」と攻めてみる。
一瞬キョトンとして優しくはにかんだ智くんは「うん、贅沢すぎる」だって。



素敵な場所に住めて、素敵な旦那さんが居て可愛い娘も居る。
好きな仕事に就けて好きな趣味に没頭出来ているの。
私の方こそが贅沢させてもらってるんだよ。
智くんありがとう。



後ろから抱き寄せられて指を絡ませる。



「あんな胸に響く音弾けちゃうんだね、こんな細い指なのに」



耳元にかかる吐息に反応してしまう私。
智くん……きっとわざとだ。






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