【続】0.0000034%の奇跡



智くんに見られた路上ライブは、とにかく必死だったんだから。
途中から気持ち良く歌ってたけど。
見つからなかったら本気で途方に暮れてた。
でもあの後………



急に立ち止まる私の手が智くんの足を止める。



「芹…?どうした?」



「もし、また路上で歌ったら……」



嗚呼……バカな事を言いながら、また智くんが欲しいと思ってしまう。
この優しい眼差しが私だけに向けられていてほしい。
この触れている手も体も………



「またプロポーズしてくれる?」



少し驚いた後、優しく髪を撫でて微笑んでる。



「するよ、何度でも」



真っ直ぐなその目……ヤバイ。
本気モードに入る直前で自制する。
笑ってまた歩き出す2人。
薬指に光る永遠の誓い。
手繰り寄せた先にある幸せ。



私はこれから何度も噛みしめる。



当たり前ではないこの景色を。



何度だって私も受け入れるよ……



離したくないのは私の方だから……







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