Sweet break Ⅲ
『…どうして、私に触れないのよ…?』

一度口にした言葉は、もう、取り消すことはできない。

自分の中で、燻っていた感情が次から次へと、溢れ出す。

『今日だって、ずっと一緒にいたのに、手も触れないし』
『それは…』
『そりゃもちろん、私は愛美さんみたいには、どうやったってなれないけど…』
『なんで今、城ケ崎の名前が出てくるんだよ』
『私だって一応は女だし、いくら何でも手を繋ぎたくならないほど、そんなに魅力ないかなぁ?って思うし』
『ちょっと、待て、倉沢』
『第一、恋人になって1カ月も経つのに、二人でいてもあんまり恋人っぽくないっていうか…それでも今日こそは、少しは”らしく”なるかなぁって思ってたけど、結局私がずっと楽しいばっかで、それらしい雰囲気にもならないし…それならいっそもう最初から無かったことにしちゃえばいいのかもって…』
『おい、だからちょっと待てって』

関君が、何か隣で言ってはいるけれど、止めどなく溢れてくる感情は一度吐いてしまうと、なかなか止まらない。

どうせ振られるんなら、この際言いたいこと言ってスッキリしたい…なんて、本当は関君の口から決定的な言葉を聞くのが怖くて、逃げているだけの自分。

こんなことは、単なる時間稼ぎにしかならないのは、充分わかっているのに…。

『倉沢、少し俺の話も…』
『あ!大丈夫、気にしないで。私、まだ紗季にしか話してないし、今のところ、誰も関君と私が…なんて思ってもいないだろうから、最初から無かったってことにすれば、問題ないでしょ』

関君に話す隙間も与えずに、一気にまくし立てた。

いけない…、ともすれば、感情が高ぶりすぎて、泣いてしまいそうになる。

『じゃ、これからはまた同僚として…』

零れ落ちそうな涙を堪え、膝に置いた手でキュッと生地を掴むと…
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