Sweet break Ⅲ
車窓から、みなとみらいの美しい夜景が流れて行き、どうしょうもなく切なくなる。

関君に近づいたと思ったら、こんな風に突き放されたり、これが世にいう”恋愛”なのだろうけど、私には難解すぎる。

だって、こんなの、拓海先輩の時には感じたこと無かったし…。

不意に、なんとも言えない感情が高ぶり、涙があふれて零れ落ちてしまう。

『…朱音?』

気付いた関君が、隣で私の名を呼んだ。

『何、泣いてる?』
『ゴメン…何でだろう?よくわからない』

嘘ではなく、自分がなぜ泣いているのか、わからなかった。

怖さ?不安?切なさ?もどかしさ?…自分対する、自信の無さ?

ハラハラと止めどなく流れる涙を、ハンドタオルで抑えると、運転席から伸びた手が、私の頭に優しく触れ、あやすように撫でると、直ぐに放れていく。

『悪い…俺が言葉足らずなんだろうな』

言葉には出さず、首を横に振る。

『でも、勘弁しろ…俺だって今、自分の中で、想定外のことが起こりすぎて、感情が整理しきれていないんだ』
『?』

関君の言葉に、顔を上げ運転席を見ると、真っすぐ前を向き、何故か戸惑いの表情を浮かべる関君。
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