天罰
「いいよ・・・」
「え?」
「悟くんにだったらされてもいい・・・」
「・・・・え?・・・え、マジですか?」
「うん・・・」
今度は逆に彼が黙ってしまった。
既婚者がこんなことを言うなんて彼は私を最低な女だと思ったに違いない。

「ごめん、やっぱり忘れて。
私、疲れたから今日はもう寝るね。ごめんね。変な電話して」
「い、いえ・・・」
「おやすみ」
「おやすみなさい」

自分は最低だ。
今度は別の理由で次第に涙が溢れた。
悟くんに引かれたかもしれない。
彼に嫌われたらどうしよう・・・。

震える手で「さっきのは冗談だから気にしないでね」と打って
すぐに削除して携帯をベッドの上に放り投げた。

もうどうなってもいい。
色んなことがありすぎて私の頭の中はグチャグチャだった。

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