天罰
大人になった彼と初めてのデート。少し背の高い彼の隣を歩いていると
緊張して電話やメッセージの時のような
積極性が完全に無くなってしまった。

「なんかこうしてまた一緒に歩くの夢見たいです」
「そうだね」

結局、普通の友人関係のような雰囲気で
予約していたレストランに辿り着いた。

天気が良かったためテラス席に案内されると
遠くにレインボーブリッジが見えた。

「素敵!」

私が携帯で写真を撮り始めると悟くんに「桃さんも撮りましょうか?」と
聞かれた。
私はすかさず「ううん、いいの」と言うと携帯を仕舞った。
緊張のためあからさまに素っ気ない態度を取ってしまったなと思った。

料理が届いても私たちは黙って食べるばかりだった。

なんでこんなに緊張するんだろう・・・
自分でもよく分からなかった。

< 36 / 65 >

この作品をシェア

pagetop