天罰
私達は身支度を済ませると早めにホテルを後にした。

ゆりかもめは、びっくりする程誰もいなくて
まるで電車を貸し切ってるようだった。

「がら空きですね、桃さん」

「そうね。さすがにこんな早くにお台場から
こっち方面に向かう人はいないのかも」

そんな会話をしていると悟くんが私の手を握ってきた。

「ちょっと・・・」

私がそれを制しようとすると
「これが最後ですから。もう少し桃さんと一緒の時間を大切にしたいです」と
言ってきたので何も言うことが出来ず黙って彼の言う通りにした。

「今度はいつ会えるの?」
彼の方を見上げながら聞くと
彼は俯いた状態で暗い表情を浮かべながら
「分かりません。今日、京都に帰りますんで・・・」と
答えた。

新橋に着くと私達は山手線のホームで別れの挨拶をした。

「桃さん、昨日は楽しかったです!ありがとうございます!」

まだ、ずっと彼と一緒にいたいのにそれが出来ないから悲しい。
私はそう思ってるのに彼は笑顔で挨拶をした。

「うん、私もすごく楽しかった」

でも私は余韻を残したままこのままで終わりたくなった。
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