婚約者の過去
彼が仕事から帰ってきてから
私は彼に言った

「あのね。 私も大切な話があるの。」

彼は私の表情を察してか正しく座り直した
そして私は続けた。

「まずこれから話す事は全て事実の事
嘘偽りは全く無い事を信じて。」
「実はね。。。。
私。。。。」

言葉に詰まってしまう。
しかし彼は表情を変えずに聞いている。

「実は私あなたと学生時代付き合ってた時あなたを騙していたの。」
「当時付き合ってた彼氏に貴方と付き合うフリをして金を貢がせようって。」
「貢がせたものを売って金にしようって。」
「だからね。貴方が高校の時にくれたものは全て売って私と彼氏で使ってたの」
「本当にごめんなさい。」

彼は泣いていた。
この時私は
あぁ婚約は破棄だ。
彼と暮らすのはこれでお終いなんだ
と思っていた。

しかし突然彼が私を抱きしめて一言。

「よかった。」

正直私は意味が分からなかった。
そして彼は私を抱きしめながら

「君のした事は酷い事だよ。
でもよかった。これを今僕に言ってくれてるって事はそれは過去の事であって今はちがうんだよね?」

私は頷く

「ならそれは過去の君だ。
酷い過去だよ。
でもその酷い過去に僕は助けられたんだよ。
たとえ嘘であっても僕は嬉しかったんだ。
僕のつまらない学生生活が過去の君のおかげて最高の学生生活に変われたんだよ。」

私はまた号泣してしまった。
彼は私の頭を優しく撫でた

そして一言
「これで君の暗い過去とはお別れだね。
明日からは僕と新しい生活を始めよう。」

そう私に伝えてその日は寝てしまった。


そして今日
私と彼は役所に行った。
今までの私は昨日で終わり

今日から私は鹿島 由美として生きていきます。
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