シェヘラザード、静かにお休み
いらっとした。
ルイスは胸の中で燻るこの気持ちが昇華できず、溜息をついてみる。
しかし、何も変わらなかった。
こんなことなら、同じ部屋が良いと言われた方がましだ。
働かなくとも金なら全部出す気でいた。これからかかる生活費だって出す気でいた。
何が欲しいのか知らないが、女の欲しいものくらい。
はた、と気付く。
そんなことではない。ただ心配だった。
何がだ?
この夜道を歩くことか、彼女が行方を晦ませるかもしれないことか。
いや、一人にすることだ。
ルイスは歩き出した。
こんなんじゃ信頼も何もあったもんじゃないな。