シェヘラザード、静かにお休み

今朝のラジオで、城近くの丘に遺体が葬られたという。

怪我人はどうなっているのだろうか。反対運動もまだ始まっていない。

「食べる?」

スプーンが差し出される。シーラが微笑んでルイスの方を見た。

「いや、俺はいい」

「あら、美味しいのに」

「よく食べたのか?」

「ええ、子供のときにね」

「子供のとき?」

その質問に、ぴたりと手が止まる。木陰を作っていた木に、小鳥がとまる。

バニラが高価になったのはつい最近のことだ。
一人で働いてぎりぎりで生活していたシーラが、贅沢品を好んで買うのか。

< 189 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop