シェヘラザード、静かにお休み
それから、自分の青い瞳を指さす。
「カッパーの瞳の、白い猫よ」
白い猫。ルイスの脳裏に見たことのないはずの猫の姿が映る。
その婚約者だった少女の家にも白い猫がいた。カッパーかどうかは分からないが、確かに白く、その少女の腕の中で静かに眠っていた。
いや、何を重ねているのだろう。カッパーの瞳を持つ白い猫なんて世界に何匹いると思っているのだ。
ルイスの表情を見て、シーラは首を傾げる。
「どうしたの?」
「なんでもない」
「もしかして、婚約者のことを思い出して寂しくなってしまったの?」
そう宣うシーラの声は面白がるようなもの。