シェヘラザード、静かにお休み

そして、違和感を覚える。

ルイスは目を凝らしてベッドの脚を見る。何か蔓が絡まっていた。

「あら……私の処刑の日取りでも決まったのかしら」

のんびりと、少し面倒そうにシーラは返答した。

その声に力がなく、ルイスはシーラがこの牢獄で死んだら面倒になることを考えた。

くるりとシーラの顔がルイスの方を向く。
その青い瞳がルイスを映し、瞬きを数回した。

「ルイスじゃない。どうだったの、休日は。彼女は怒っていなかった?」

「先に飯だ」

朝食として出されたそれを指さして、ルイスは隣の牢屋の方へ歩く。

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