シェヘラザード、静かにお休み


一行は、崩落した橋を前に呆然としていた。

誰かが冷静になって考えれば、少しは想像できたものだろう。しかし、誰も考えつかなかった。

「他に道はあるんですか?」

「あるにはあるんですが、戻ることになります」

時間は深夜を過ぎていた。
運転をしているルイスは勿論、後ろに座っているだけの二人も疲労がたまっている。

「その道の途中にうちの別荘があります。そこに今日は泊まりましょう」

ルイスは提案した。それに反対する者はいなかったが、三人の心の中は穏やかではなかった。



早朝。
マリアがローウェルの別荘へ行くと、見慣れた車が停まっていた。

< 305 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop