シェヘラザード、静かにお休み
もしも脳味噌が吹っ飛んだのなら、シーラの負けだ。
「ねえ、良いことを教えてあげるわ」
炎は冷えていた。シーラは落ち着いて微笑む。
「どんなに均して塗り固めたコンクリートでもね、強い芽はそれを割って光を求めるものなのよ」
カルメラはシーラの後ろで、音をたてず泣いていた。
オリバーはそれに気付いていたが、何も言わなかった。
そして、引き金を、引く。
「お待ちください!」
王女、ことアメリアは車を降りるなり叫んだ。
しかし屋外であり声は遠くまでは届かない。ルイスはトランクに積んでいた拡声器を渡す。